Shellとシステム(3)

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Shellとシステム(3)

前回はmain関数の引数を紹介しました。これは主にオプション指定等に利用されます。
プログラムの設定を変えるにはあまり利用されません。今回はこの設定変更によく利用され簡単に実装できる環境変数について解説します。

環境変数の表示

環境変数はprintenvやechoコマンドで表示が可能です。
printenvは全ての環境変数を表示します。

$ printenv
SSH_AGENT_PID=2089
GPG_AGENT_INFO=/run/user/khondalit/keyring-OWEgSa/gpg:0:1
SHELL=/bin/bash
XDG_SESSION_COOKIE=0aab336c539bae200fe0722a5127afa3-1371293018.52064-301781071
WINDOWID=65011716
GNOME_KEYRING_CONTROL=/run/user/khondalit/keyring-OWEgSa
USER=khondalit
LS_COLORS=rs=0:di=01;34:ln=01;36:mh=00:pi=40;33:so=01;35:do=01;35:bd=40;33;01:cd=40;33;01:or=40;31;01:su=37;41:sg=30;43:ca=30;41:tw=30;42:ow=34;42:st=37;44:ex=01;32:*.tar=01;31:*.tgz=01;31:*.arj=01;31:*.taz=01;31:*.lzh=01;31:*.lzma=01;31:*.tlz=01;31:*.txz=01;31:*.zip=01;31:*.z=01;31:*.Z=01;31:*.dz=01;31:*.gz=01;31:*.lz=01;31:*.xz=01;31:*.bz2=01;31:*.bz=01;31:*.tbz=01;31:*.tbz2=01;31:*.tz=01;31:*.deb=01;31:*.rpm=01;31:*.jar=01;31:*.war=01;31:*.ear=01;31:*.sar=01;31:*.rar=01;31:*.ace=01;31:*.zoo=01;31:*.cpio=01;31:*.7z=01;31:*.rz=01;31:*.jpg=01;35:*.jpeg=01;35:*.gif=01;35:*.bmp=01;35:*.pbm=01;35:*.pgm=01;35:*.ppm=01;35:*.tga=01;35:*.xbm=01;35:*.xpm=01;35:*.tif=01;35:*.tiff=01;35:*.png=01;35:*.svg=01;35:*.svgz=01;35:*.mng=01;35:*.pcx=01;35:*.mov=01;35:*.mpg=01;35:*.mpeg=01;35:*.m2v=01;35:*.mkv=01;35:*.webm=01;35:*.ogm=01;35:*.mp4=01;35:*.m4v=01;35:*.mp4v=01;35:*.vob=01;35:*.qt=01;35:*.nuv=01;35:*.wmv=01;35:*.asf=01;35:*.rm=01;35:*.rmvb=01;35:*.flc=01;35:*.avi=01;35:*.fli=01;35:*.flv=01;35:*.gl=01;35:*.dl=01;35:*.xcf=01;35:*.xwd=01;35:*.yuv=01;35:*.cgm=01;35:*.emf=01;35:*.axv=01;35:*.anx=01;35:*.ogv=01;35:*.ogx=01;35:*.aac=00;36:*.au=00;36:*.flac=00;36:*.mid=00;36:*.midi=00;36:*.mka=00;36:*.mp3=00;36:*.mpc=00;36:*.ogg=00;36:*.ra=00;36:*.wav=00;36:*.axa=00;36:*.oga=00;36:*.spx=00;36:*.xspf=00;36:
SSH_AUTH_SOCK=/run/user/khondalit/keyring-OWEgSa/ssh
#...以下省略

echoコマンドは文字列を表示するコマンドですが、特定の環境変数の表示も可能です。
環境変数を表示するには"$"を先頭につける必要がります。
$ echo $SHELL
/bin/bash

また、環境変数の設定はexportコマンドを使用します。
$ export TEST_ENV=abc
$ echo $TEST_ENV
abc

#一時的な設定も可能
$ echo $LANG
ja_JP.UTF-8
$ LANG=c;man man #LANG=cでmanコマンドが起動する
$ echo $LANG
ja_JP.UTF-8

この環境変数はプログラムから取得、設定が可能です(というかその為に存在するのですが...)。


環境変数の取得

環境変数にプログラムからアクセスするにはgetenv(3)を使用します。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>

int main(void)
{
    printf("%s\n", getenv("LANG"));

    return 0;
}


$ ./getenv
ja_JP.UTF-8

非常に単純ですね。"/etc/"にあるような設定ファイルは統一的な方法が用意されていない為自分でパース部分を作成する必要があります(C言語は文字列操作が難しい!)。
しかしこの方法だと楽に設定を外部から指示できます。


環境変数の設定

getenv(3)があるのですから当然対になる設定用の関数も存在します。
設定にはsetenv(3)もしくはputenv(3)を使用します。setenv(3)はBSD系由来で、putenv(3)はPOSIX規格です。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>

int main(void)
{
    setenv("TEST_ENV", "abc", 1);
    printf("%s\n", getenv("TEST_ENV"));

    putenv("TEST_ENV=def");
    printf("%s\n", getenv("TEST_ENV"));

    return 0;
}

こちらも非常に簡単です。setenv(3)とputenv(3)は引数の使い方が違うので気をつけてください。
どちらを使っても良いので、これは好みの問題でしょう。ただ、get/setと対になる言葉ですので、setenv(3)のほうが多く使われる印象はあります。
当然ですが、環境変数はそのプログラムが終了すれば消えてしまいますので注意してください。
$ ./hoge 
abc
def

$ echo $TEST_ENV



環境変数の削除

環境変数を削除するには、clearenv(3)とunsetenv(3)があります。
clearenv(3)は全ての環境変数を削除します。unsetenv(3)は特定の環境変数の削除を行います。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>

int main(void)
{
    //削除するために設定しておく
    setenv("TEST_ENV", "abc", 1);
    printf("%s\n", getenv("TEST_ENV"));

    //削除!
    unsetenv("TEST_ENV");
    printf("%p\n", getenv("TEST_ENV"));

    //LANGは通常設定されている
    printf("%s\n", getenv("LANG"));
    clearenv(); //全削除
    printf("%p\n", getenv("LANG")); //LANGは無いはず!

    return 0;
}


$ ./hoge 
abc
(nil)
ja_JP.UTF-8
(nil)

こちらも単純です。


グローバル変数 environ

グローバル変数にはenvironという物があります。
これを使うと環境変数全てへアクセスできます。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
int main(int argc, char **argv)
{
        extern char **environ;

        while(*environ){
                printf("%s\n", *environ);
                *environ++;
        }
}

environ(7)はほぼ標準的に用意されているようで、全環境変数へのアクセスが必要な場合はこれを利用するのが良いでしょう。


main関数の第3引数

これは知らない人が多いでしょう。非標準ですがmain関数には実は第3引数があります。
environと同様に環境変数全てへアクセスできます。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>

int main(int argc, char *argv[], char *envp[])
{
        while(*envp){
                printf("%s\n", *envp);
                *envp++;
        }

        return 0;
}

非標準ですのであまり使用しないほうが良いとは思います。豆知識程度に考えておいてください。
これを利用するのであればenviron(7)を利用しましょう。


まとめ

環境変数を使用すれば、動的に動作を変えることができます。
設定ファイルを自分でパースするよりははるかに楽です。是非利用してください。